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2000.12.23

新・ロボット工学3原則

最近ロボットネタが多いな。
1年弱前から、MacPower誌に「ロボータロボータ!」というコラムが連載されている。名前の通りロボットに関するもので、具体的にはロボットの研究開発をしている人へのインタビューという形を取っているのだが、これがなかなか面白く、このところMacPower誌を買う大きな理由の一つとなっている。
既に、ホンダのP3開発者、バンダイのワンダーボーグ開発者等へのインタビューが紹介されているが、最新号ではいよいよSONYのAIBO開発者へのインタビューが掲載された。例によって非常に興味深い内容であるが、中でも驚かされたのがAIBOの開発にあたって「新・ロボット工学3原則」を制定していたという話題だ。「ロボット工学3原則」と言えば、「ロボットの父」とも言われるSF作家アイザック・アシモフの作品中に登場し、現実のロボット開発においても考慮されるようになったあまりにも有名なものであるが、それの新バージョンとは一体どんなものなのか?幸い本家3原則と共に内容が掲載されているので、引用してみよう。
ロボット工学3原則(byアイザック・アシモフ)
第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第2条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合には、この限りではない。
第3条 ロボットは前掲第1条および第2条に反する恐れがない限り自己を守らなければならない。

新・ロボット工学3原則(byソニー)
第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。自分に危害を加えようとする人間から逃げることは許されるが、反撃してはいけない。
第2条 ロボットは原則として人間に対して注意と愛情を向けるが、時に反抗的な態度を取ることも許される。
第3条 ロボットは原則として人間の愚痴を辛抱強く聞くが、時には憎まれ口を利くことも許される。
    布施英利氏「ロボータロボータ」(MacPower誌2001年1月号掲載)より
見てみると、第1条は似ているが、第2、3条はまったく違う。第3条なんて、かなりジョークに近いものがある。まあ、その辺の違いについては、記事の中でも取り上げられいるので、詳しくは原文をあたっていただきたいが、一つ感じるのは日本人が作った「原則」だなあ〜、ということである。「時には反抗的な態度を取ることも許される」なんてロボットにとかく脅威を感じる(らしい)西洋人にはとても思いつくまい。また本家の原則がきっちり論理的に書かれているに書かれているのに対し、「時には」とかあいまいな表現が使われているのも日本人らしい。まあ、この辺は時代の流れという影響もあるのかも知れないが。
もっとも、「本家3原則」が「論理的」と書いたが、確かに各項個別に取れば論理的なのだが、総合的に見れば矛盾が発生するような場合もある訳だ。そのへんはアシモフの小説でも、例のHALの暴走ででも取り上げられていたが、ロボットを完全に人間に服従する、機械の延長として考えれば、どうしても矛盾が発生せずにはおれない。命令を下す人間そのものがもともと矛盾だらけの存在だからだ。その点、「新3原則」は、そういった矛盾に対する逃げ道を作っているとも言える。矛盾した命令が下されれば、「反抗的な態度を取」って無視すればよい訳だ。まあ、「時には」というあいまいな条件の解釈をどうするか?と言う問題は残るけどね。
SONYが、そこまで考えて「新3原則」を作ったかどうかは判らない。記事中では、「思い通りにならない」ことによって、かえって人間を癒す効果がある、というようなことが語られている。「ペットの延長」としてロボットを位置づけているSONYならではの考え方だろう。このまえ(11月22日の項参照)も書いたが、この辺にSONYという企業の特異とまでは言えないが、ちょっとひねった考え方がよく表れているような気がする。
しかしよく考えてみると、「憎まれ口」はともかく、「時には反抗的な態度を取る」という存在を「ロボット」と言ってしまっていいものだろうか?それはもはや、「別種の生き物」と考えた方がいいのではないか?う〜む、ひょっとするとSONYはとんでもないことをしようとしているのではあるまいか?そんな事もつい頭をよぎってしまったりするのだった。
まあ、日本人にとっては、「ロボットが言うことをきかない」というのは当たり前のことなのかも知れない。ロボットもののはしりの番組の一つである、「ジャイアントロボ」だって最終回では操縦者の命令に従わずに、敵と一緒に自爆してしまう訳だから。

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