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2008.11.30

初回限定盤CDはなぜDVD付きが多いのか?

世の中には、いわゆる「初回限定盤」と呼ばれるCDがありますね。この初回限定盤CD、最近ではPVなどを収録したDVD付きという形態で売られることが圧倒的に多いです。
なぜ、そのような事態になっているのでしょうか?今日はそれについて少し考察してみたいと思います。

1.初回限定盤CDとは?
初回限定盤(より正確に言うなら初回生産限定盤)CDとは、CDの発売日に合わせて生産される初回生産分の仕様を、その後再プレスされる通常盤とは異なった形で出すものです。
初回限定盤には、ここで取り上げるDVD付きの他にも、デジパック等の特殊パッケージ、ジャケットの写真違いなどいろんな種類があります。

2.なぜ初回限定盤を出すのか?
CDには、長期間にわたって売れ続ける、いわゆるロングセラーというタイプのものもありますが、その殆どは発売当初に売れて、それ以降は売上が落ち込むというタイプです。つまり発売時の売上を伸ばすことが重要な訳です。
そこでレコード会社としては初回生産分にいわゆるオマケ(付加価値)を付ける事によって、より発売時の売上を上げようとします。ここで重要なのが初回「限定」盤ということで、買い逃すともう手に入らないかも知れないというプレミア商品的位置付けにすることによって、購買意欲をそそる訳です。

3.なぜDVD付きなのか?
1.の項で述べたように、初回限定盤としてつけるオマケにはいろんな形がある訳ですが、それではなぜ最近になってDVD付きという形態が多くなってきたのでしょうか?
DVDには、他のオマケにはない、何らかの価値があるのでしょうか?
そのヒミツは、再販制度にありそうです。

4.再販制度とは何か?
再販制度、正確には再販売価格維持とはどのようなものでしょうか?wikipediaで調べてみましょう。

再販売価格維持(さいはんばいかかくいじ、resale price maintenance)とは、ある商品の生産者または供給者が卸・小売業者に対し商品の再販売価格を指示し、それを遵守させる行為。 再販売価格維持行為(再販行為)、再販売価格の拘束とも呼ぶ。

要はメーカーが小売業者に対し商品の値引き販売を許さないことをいう。(後略)
  wikipediaの再販売価格維持の項より引用。


CDに限らず、書籍や雑誌もそうですが、一定の価格で売ることが義務づけられており、勝手に値引きすることはできません。これが再販制度です。
ちなみに再販制度は無制限に価格を決める訳ではなく、一定の期間を定めて行われることが多いです。国内盤CDの裏ジャケを見ると、○に再の字、08.11.30 などという表記のあるものがありますが、これは2008年11月30日までは再販制度によって値引きを禁じるという意味です。再販制度の期間は、2年間というのが多いようですが、最近では半年とか短く設定されているものもあるようです。

5.再販制度の光と闇
再販制度については、いろいろと問題がありますが、その辺に踏み込んでしまうとやたら長くなってしまうので、要点だけまとめますと、まず再販制度で利益を被るのはCDを売る小売店です。仕入れたCDのうち、売れ残りを返品することが可能になるので不良在庫を抱えるリスクを減らせます。レコード会社としても、返品されたCDもまた定価のまま売れるわけですから、うまみがあります。
しかし、逆に考えると、再販制度によって価格があらかじめ決まってしまう訳ですから、自由競争というものがなくなり、付けられる定価が適切なものから高くなりがちになってしまいます(国内盤と輸入盤の価格の違いを見ても判りますよね)。またいくら繰り返し定価のままで売れると言っても、実際に購入されなければ最終的には不良在庫ということになります。
不良在庫を抱えるくらいなら、値下げしてでも売って、ある程度の利益を確保したい訳ですが、再販制度によってそれも出来ない状況になります。いわば自縄自縛という訳です。

6.予約という売り方
不良在庫を抱えないために一番有効なのは、需要のある分だけ生産して余計な在庫を作らないことです。そのためにこのCDがどれだけ売れるか?という事前マーケティング調査をする訳ですが、やはり当たり外れがあります。
そこで有効なのが、いわゆる予約をしてもらうことです。予約してもらった分は確実に売れる訳ですし、予約がどの程度入るかによって、実際の需要を予測する精度が上がります。いいことずくめなのです。
それでは予約注文を増やすにはどうすれば良いのでしょうか?一番手っ取り早くて、確実なのは、予約して貰えれば値引きしますよ、という作戦です。しかしここでも再販制度が枷になってそれはできません。

7.DVDが付くと…
amazonとかHMVとかでDVD付きの初回限定盤CDを買ったことのある方は、ここであれ?と思うのではないでしょうか。発売日前に予約したら、10%とか20%とか値引きしてくれる場合があるのでは?と。再販制度では値引きは出来ないはず。その訳は?
もう一度、wikipediaのお世話になりましょう。

ここでいう著作物とは、著作権法に定めるすべての著作物ではなく、

 * 書籍
 * 雑誌
 * 新聞
 * 音楽ソフト
  o 音楽用CD
  o レコード
  o 音楽用テープ

の6品目とされる。よって同じ著作物でも、映像ソフト(ビデオ、DVD)、コンピュータソフト、ゲームソフトは含まれない。また、ダウンロード形式により販売される電子データも含まれない。再販商品であっても非再販商品をセットにして再販商品として定価で販売することは認められない。
   wikipediaの再販売価格維持の項より引用。


つまり、DVDは再販制度の対象外なのです。そして、CDにDVDをオマケで付けると、「再販商品であっても非再販商品をセットにして再販商品として定価で販売することは認められない。」という条件により、再販制度の対象外となってしまうのです。よって値引き販売が可能なのです。

8.崩れゆく?再販制度
5.および6.の項で、再販制度には自縄自縛とでも言うべき面があることに触れました。ここからは、個人的憶測になりますが、初回限定盤にDVDを付けることによって、値引き(特に予約時の)を可能にするというのは、再販制度の光と闇の葛藤の中で産み出された苦肉の策、という気がしてなりません。
今のところ、DVD付き初回限定盤の予約値引きをしているのは、amazonやHMVといった大手通販サイトだけで、一般の小売店ではやっていないようですが、徐々に浸透していくかも知れません。
レコード会社や小売店が、再販制度という砦にしがみついている一方で、再販制度の対象外となるDVD付き初回限定盤が普及していくことで、実際的には再販制度が形骸化していく、そんな気もします。

参考:再販制度の問題点については、少し古い記事ですが、以下の記事も参考になると思います。
音楽配信メモ 音楽CDの再販制度は崩壊するか?

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