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2017.03.03

■▲結末の判っているサスペンス〜『日本のいちばん長い日』を読んで観て〜▲■

『日本のいちばん長い日』というドキュメントおよびその映画化作品については、だいぶん昔からその存在は知っていた。今回その両方共読む・観ることになった訳だが、どうやってそこへたどり着いたかをまず振り返ってみたい。

  1. 映画『この世界の片隅に』からの道 − 2016年11月に公開されて以来、未だに上映され続けている超ロングラン、興行成績20億を超える大ヒットとなったアニメ映画、私も観に行って感動し、今のところ2回観に行ったが(後1回くらいは観たい)、それで「戦争」というものについて深く考えさせられる事があり(この辺についてはいずれ別記事で詳しく)、戦争についてのノンフィクションなどに対する関心が高まった。

  2. 映画『シン・ゴジラ』からの道 − 庵野秀明脚本・総監督の特撮映画『シン・ゴジラ』は私も観に行って感動し、最終的には3回観に行ったが、そのあたりで、ネット・雑誌などにより、庵野監督が岡本喜八監督映画からの影響を多大に受けていること、特に『シン・ゴジラ』前半の延々と続く会議シーンは、同監督の『日本のいちばん長い日』の影響であるというのを読んで、映画版『日本のいちばん長い日』に対する関心が高まった。

  3. たまたま、地元のブックオフで半藤一利著『日本のいちばん長い日 決定版』(文春文庫)(注1)を108円(税込)で売っているのを見つけて購入・読了した。

  4. その原作の方は非常に面白かったので、これは映画版も観なければということで、さっそくレンタルで借りてきて観た(注2)
そんな感じで、まずは原作であるドキュメント小説『日本のいちばん長い日』を先に読んだ訳だが、読む前には、なんとなく小難しい本ではないか?という思い込みもあったのだが、読んでみると、そんなことは全然なく、下手な小説より読みやすいものだった。
タイトル通り、1945年8月14日正午、ポツダム宣言受諾〜翌8月15日正午、玉音放送までの24時間の出来事を書いたものである。従って、結末がどうなるのか、玉音放送は無事放送されるのか?という最終的な結末は判っている訳だが、それでもあたかもサスペンス小説のようにハラハラ・ドキドキさせられ、後半の1/3くらいは一気に読んでしまった程だ。
その理由として、まず筆者の筆はどちらかと言うと淡々としていて、そこはドキュメントらしく、エンターテイメント面を気にした変な盛り上げやら強調はないのだが、それゆえにかえって読みやすく、没頭できることや、登場人物は結構多いのだが、それぞれのキャラクターや性格がきちんと書き分けされ、いわば「キャラが立ってる」状態であることなどが挙げられるが、何よりも、ポツダム宣言受諾も、玉音放送も、スムーズに行われた訳でなく、そこに至るまでには様々な波乱があったことが次々と明らかにされてくることだ。

次に映画の方だが、これは2時間37分という、かなり長尺の映画だが、それでも24時間の出来事を全て入れるのは不可能であるので、原作と比べると、カットされている部分はかなりある。しかし、やはり映像の力というのは凄いもので、原作では淡々と終わってしまった部分も、映画で見ると凄い迫力がある(これ以上書くとネタバレになるので詳細は割愛)。
何しろ、出演者の顔触れが凄い。どうすごいかは、wikipediaでも見ていただくとして、個人的に印象に残ったのは、主役級の阿南陸相役の三船敏郎を筆頭に、飄々とした好々爺のようでいて、実は曲者の鈴木総理役の笠智衆と、常に目玉をひん剥いている、畑中少佐役の黒沢年男のテンションMAXの演技と、もう完全に狂ってるとしか思えない、佐々木大尉役の天本英世の怪演ぐらいだろうか。
更に、24時間の出来事と言っても、一箇所で発生してる訳ではない。内閣、宮内庁、御文庫(注3)、陸海軍など色んな場所で、色んな出来事が並行して起こっている訳で、映画ではそれらをカットバックして次々と写していくのだが、その振り分けが非常に巧みで、そのために観るものが混乱することもなく、話の流れが非常にスムーズになっている。

そんな訳で、『日本のいちばん長い日』に関しては、これはもう原作・映画、両方を読んで観てもらいたいと思う。ただ、原作を先に読むのか、それとも映画をまず観て、とするのか、どちらにするかは非常に悩むところではある。

(注1)1965年の初発時には、大宅壮一 編『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』(文藝春秋新社)として刊行。しかし実質的な著者は半藤一利氏だったため、1995年に、半藤一利『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日 決定版』(文藝春秋社)として、再刊された。今回入手したのは、2006年に、半藤一利『日本のいちばん長い日 決定版』(文春文庫)として文庫化されたもの。
(注2)『日本のいちばん長い日』の映画は1967年、岡本喜八監督により東宝で映画化されたものと、2015年、原田眞人監督により松竹で映画化されたものとがあるが、今回観たのは、1967年の岡本喜八版。2015年の原田眞人版は未見。
(注3)宮城内における天皇の住居。空襲に備えて、頑丈な建物である御文庫を居とされていた。

                                      了

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