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2017.07.04

●茶木みやこという人 補遺その2●

大分間が空いてしまいましたが、(前回の「茶木みやこという人 補遺」は2015年8月)、前回の中で、

「この『茶木みやこ撰歌』も、幸い2004年に復刻CD化されています。こちらも未だ入手していませんが、アルバム版とシングル版の違いということも含め、入手して聴き比べてみたいと思います。」
ということを書いています。
実は、だいぶん前にベスト盤『茶木みやこ撰歌』は入手済みで(流々浪々日記で検索してみると、今年の1月。もう半年前だ)、比較用のプレイリストも作成して、記事書く気満々だったのですが、どうにも気が乗らず、結局ズルズルと半年経ってしまいました。この機会に、なんとかまとめてみようと思います。


前回問題としたのは、シングル盤が出ている曲について、シングル版とアルバム版に違いがあるのではないか?ということでした。
さすがに、シングル盤を集めるのは、ハードルが高いですが(そもそもアナログ再生環境を持っていない)、ベスト盤注1には、シングル版が収録されているのではないか?という希望から、ベスト盤を入手したら、聴き比べしてみようと思ったのが記事を書く(書こうとした)きっかけでした。厳密に言えば、ベスト版とシングル版が違うという可能性もある訳ですが、ベスト盤作成時に、新たに録音し直すとは考えにくいので、とりあえずベスト版=シングル版と考えて記事を進めます。

まずは、比較対象となる曲、およびその曲がどのCDに収録されているかをまとめた表を作ってみたいと思います。

曲名うたがたりレインボウ・チェイサー茶木みやこ撰歌金田一耕助の冒険[特別版]
泪橋
冬支度
闇路
静かな夜
まぼろしの人
あざみの如く棘あれば
あなたは何を

こんな感じです。
ちなみに、『金田一耕助の冒険[特別版]』注2というのは、TVで放映された『横溝正史シリーズ』という作品があり、それを元にして作曲されたいわばイメージアルバムなのですが、CD化の際、ボーナストラックとして『横溝正史シリーズ』関係の主題歌および挿入歌も収録されました。茶木みやこ関係の3曲も収録されていたので、『レインボウ・チェイサー』に入っていた「まぼろしの人」を除く2曲は、初CD化でした。
この辺の詳しい経緯は、「◆音楽四方山話◆ 第2回 旧館サルベージ企画その1 茶木みやこという人」を見てもらうことにして、話を進めます。

では、問題となる曲について、アルバム版とベスト版および金田一耕助の冒険版(以下「冒険版」と略記)の比較を行います。

  1. 泪橋
    これは再生するまでもなく、曲情報を見ただけで、別物と判ります。曲の長さが全く異なっているからです。
    ・アルバム版:3分44秒注3
    ・ベスト版:4分01秒
    それでは実際に聴いてみましょう。まず、イントロから違います。アルバム版ではアコギとハーモニカだったのが、ベスト版ではエレキとベースの印象的なリフに、ハーモニカの代わりにシンセが被さっています。
    大体において、ヴォーカル中心でバックの演奏はリズムキープな感じのアルバム版に対して、ベスト版はかなりバックの演奏が分厚い感じです。ベースもグルーヴ感あるし、ドラムはあちこちでフィル・インを入れてくるし、エレキも間奏部分では結構派手に弾いてます。
    アコースティックでフォーク調のアルバム版に対し、ロック寄りのベスト版と呼べるでしょうか。
  2. 冬支度
    これも曲の長さが異なります。
    ・アルバム版:4分38秒
    ・ベスト版:3分47秒
    まずアルバム版の方ですが、この曲に関しては結構派手です。最初こそアコギの伴奏だけで静かな感じですが、途中でエレキやらエレピ?やらベースやらドラムが入ってきて一気に派手になります。間奏ではエレキもやや遠慮気味ながらソロをとります。
    ではベスト版の方は?と言うと、これがアルバム版に輪をかけて派手です。イントロからいきなりフルートが入ってくるし、中盤以降はなんとストリングスも加わります。ここまで行くと、ロック、というよりは歌謡曲の感じが強いかな?
  3. 闇路
    ・アルバム版:3分34秒
    ・ベスト版:3分36秒
    曲の長さに関しては、殆ど差がないです。誤差の範囲内と言っていいでしょう。では、実際の演奏はどうかというと、アルバム版の方は、「泪橋」に近い、かなりフォーク調の静かな伴奏です。基本的にアコギとベースとドラムがリズムキープし、時たまシンセがアクセントとなる感じです。
    ベスト版の方は、これまた派手です。いきなりイントロからシンセで始まり、途中でこれもストリングスが入ってきます。間奏ではエレキが思い切りソロを取るし。最後は、ヴォーカルがフェイドアウトした後に、力強いストリングスの響きが残って、やがてそれもフェイドアウトする、という形で締めくくられます。
  4. 静かな夜
    ・アルバム版:4分26秒
    ・シングル版:4分05秒
    とこれも長さがかなり異なります。が、前の3曲に比べると、アルバム版とベスト版の差はあまりないです。基本的に、エレピとストリングスがアクセントをつけて、ベースとドラムはリズムキープという点で、アレンジに大きな差はありません。違うのは、ベスト版には男性のバッキングヴォーカルが所々で入っているのと、アルバム版では最後の部分がエレピとストリングスで締めて終わるのに対し、ベスト版ではフェイドアウトしてゆくくらいでしょうか。
  5. まぼろしの人
    続くこの曲は、アルバム版、ベスト版、冒険版の3つの音源があります。
    ・アルバム版:4分04秒
    ・ベスト版:2分48秒
    ・冒険版:2分49秒
    アルバム版とそれ以外は大きく異なっていますが、ベスト版と冒険版には大差ありません。順序が逆になりますが、演奏時間がほとんど同じベスト版と冒険版は、2,3回聴いた限りでは違いを見つけられませんでした。この2つはおなじ演奏と見て良いでしょう。
    その2つと、アルバム版とは大きく異なります。まず、イントロの長さが、ベスト版/冒険版では10秒くらいしかないのに、アルバム版の方は1分近くあります。
    アレンジもかなり変わっていて、アルバム版の方は、エレピとシンセがアクセントをつける、「静かな夜」のアルバム版と同じような感じです。
    それに対し、ベスト版/冒険版では、印象的なシンセが全般で鳴っていて、間奏ではギターソロもあり、かなり派手な感じです。
  6. あざみのごとく棘あれば
    ・ベスト版:2分51秒
    ・冒険版:2分53秒
    この2つは、演奏時間も同じくらいですし、聴き比べても違いは発見できませんでした、同じ演奏と見て良いと思います。
  7. あなたは何を
    ・ベスト版:4分12秒
    ・冒険版:4分12秒
    この2つは、演奏時間も同じで、聴き比べても違いは発見できませんでした、こちらも同じ演奏と見て良いと思います。
  8. 総括
    以上、検証を行いましたが、基本的にベスト版と冒険版は同じもの、ベスト版とアルバム版は異なるものである、即ちベスト盤にはシングル版のほうが収録されている、という結果になりました。
    後、検証の時には、触れませんでしたが、茶木みやこのヴォーカルについては、どの曲も殆ど同じで、ベスト版とアルバム版の間でも、大きな違いはありませんでした。

さて、音源のある分については、検証が済んだ訳ですが、実はもう一つの音源があります。即ちTV番組の主題歌or挿入歌として作曲された、「まぼろしの人」、「あざみのごとく棘あれば」、「あなたは何を」の3曲については、実際に放映されたバージョンがあるはずだからです。
TV番組の尺の都合上、通常、実際に放映されるものは、かなり短く編集されています(TVサイズと呼ばれる)。が、やっかいなのは、TV番組で使用されたものと、サントラとして発売されたものの内容が異なっている、即ちサントラ発売に当たって再録音されていたり、編集されているケースが往々にしてあることです。
しかし、実際に放映されたバージョンなんて、残っているのか?そこで、困ったときのYouTubeです。検索してみた結果、まず「あなたは何を」については、該当するような動画が見当たりませんでした。
続いて「まぼろしの人」、これについては、数種類の動画がありましたが、ライヴ映像などを除くと、1つだけそれっぽいのはありましたが、内容を見てみると、シングル版の音声に、適当にドラマの映像を被せただけのもののようでした。

残る「あざみのごとく棘あれば」ですが、これについては、実際に放映された映像と思われる動画が見つかりました。

見てみた感じでは、実際に放映された当時の映像と思われます(見覚えがありました!)。
では、その音声はどうなのか?というと、なにせ昔の映像なので、かなり聴き取りづらいです。全体としては1分49秒あるのですが、冒頭約24秒は、ドラマのエンディング部分の映像なので、実際の曲の部分は1分25秒くらいでしょうか。そのうち、冒頭の5秒位のシンセの音は、ベスト版/冒険版にはないものです。これははっきり判ります。
6秒目以降の部分については、基本的にベスト版/冒険版を、ワンコーラス分+エンディングと言うかたちで編集したものと思われ、それ以外の大差はないようです。

ということで、大体の検証は終わりました。が、色々とネット上を検索していると、シングル版「まぼろしの人」はあの日本のプログレバンドとして有名な、四人囃子が編曲と演奏を手がけている」という情報が幾つか見つかったのです。ただ、そのネタ元がなんなのか、なかなか判らなかったのですが、最終的に、『金田一耕助映像読本』注4というムックに収録された、茶木みやこへのインタビューだと判明しました。
そこで早速そのムックを取り寄せて、インタビューを読んでみたのですが、それはTV番組『横溝正史シリーズ』だけでなく、茶木みやこの音楽活動全体へのインタビューであり、非常に興味深いものでした。興味を惹かれた分を、いくつか箇条書きで上げてみると、

  • シングル版「まぼろしの人」の編曲のクレジットがグッドグリーフとなっているが、これはレコード会社が違うために権利の関係で「四人囃子」の名前を名乗れなかった事による変名。
    実際には、四人囃子(但し森園勝敏はいなかった模様)と、他にもあんぜんバンドの中村哲(「あなたは何を」の編曲も手掛けた)なども参加している。
  • 「あざみのごとく棘あれば」の放映版に付け足されたイントロは、茶木みやこの意図したものではなかった。放送局からは、曲の時間数の指定もなかったらしいので、茶木みやこがシングル用に演奏したものを、放送局側がイントロを付け加えたり、時間数を合わせたりして編集したらしい。
  • 3rdアルバム『翔べなくなるわ』には、ソロデビュー前の、八木正生や矢野顕子も参加していた。
  • 4thアルバム『レインボウ・チェイサー』には、ゴダイゴのメンバーが参加し、12曲中9曲の編曲をミッキー吉野が担当した。

このインタビューはなかなか興味深いので、茶木みやこファンの人は、このインタビューのためだけでも、ムックを買っても良いかもしれません。

『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』

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最後に、茶木みやこのCD(活動再開前の分に限る)の現在の状況ですが、amazonのサイトを見ると、ベスト盤『茶木みやこ撰歌』と3rd『翔べなくなるわ』はまだ在庫があるものの、2nd『うたがたり』と4th『レインボウ・チェイサー』は、復刻版は既に在庫切れで、マーケットプレイスにも登録なし、1995年に出た旧規格版のみ、マーケットプレイスに出品あり、となっています。
ベスト盤『茶木みやこ撰歌』と3rd『翔べなくなるわ』も、近いうちに在庫切れになってしまうのが予想されるので、欲しい人は早めに買っておくほうが良いかもしれません(と書きながら、3rd『翔べなくなるわ』はまだ買ってないのですが...)。

『茶木みやこ撰歌』

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『翔べなくなるわ』

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注1.『茶木みやこ撰歌』(Tokuma Japan Communications/Transistor Records TPCM-002)
注2.『横溝正史MM<ミュージック・ミステリー>の世界 金田一耕助の冒険 【特別版】』(KING RECORD KICA 3034)
注3.時間表記は、CDに記載のものではなく、iTunes上に表示される時間を使用した。以下同様。
注4.『映画秘宝EX 金田一耕助映像読本』(洋泉社)

                                                     了


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Comments

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Posted by: IssacBoumb | 2017.07.16 at 21:56

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